iPhoneで綺麗に花の写真を撮る方法

ピント、明るさ、主題に絞る

花の写真撮影3原則

・ピントを合わせる
・明るさを整える
・主題に絞る

様々な撮影目的に応じて3原則も変わってきますが、花の撮影で重要なのはこの3つになります。
「主題に絞る」ではなく「構図」とする教科書も多く見受けられますが、ここでは、花を大きく撮ることを考えているので、「主題に絞る」を入れました。

花に近づいて撮影。iphone7は8cmまで

被写体がピンボケでは折角の写真が台無しです。
きれいに撮影するためには、ピントが最も重要です。
フォギーや、ポートレートで魅力的な画像も、
実はピントがしっかり合った上でのフォギーやポートレートなのです。

(ピンボケ画像になった時、わざとぼかしを入れる事でごまかすことは出来ます。でも、よーく見るとボケています。)

ピントを合わせられる最短距離は、カメラによって異なります。
被写体に近づくことは撮影の鉄則ではあるのですが、
近づきすぎは命取り。ピンボケになります。

それでは、iPhoneではどれくらい近づけるのでしょうか?

実験をしてみました。テーブルの端にiPhoneを置き、テーブルには薬の瓶を文字が見えるように置きます。
薬の瓶を次第に近づけ、どこまでピントが合うのかを計測しました。

その距離8cm。
なので、どんなに近づいても8cm以上は距離を空けましょうネ。

主題に近づき、ズーム。背後をボカす

ところで、被写体に近づけない時は、少し離れたところからズームで撮影することも有効な手段です。
しかし、ズーム撮影の場合、

1.手ブレの影響を受けやすくなります。
2.離れて撮影する事で、被写体の後ろの物がよく見えて来て煩雑な写真になってしまいます。

実験画像を紹介します。80cm幅のテーブルにポストイット、ペットボトルを写真のように配置しました。

最短撮影距離で撮影したときの配置
ケース1 左端より8cmにポストイットを置く

テーブル右端に置いて撮影
ケース2 左端より70cmにポストイットを置く。

iPhoneをテーブル左端に配置して撮影します。

ペットボトルのボケ具合を御覧ください。

ボケ調査 手前8cm
ケース1 手前8cmにピントを合わせて撮影

ボケ調査 8cm 2倍ズーム
ケース1 手前8cmにピントを合わせて、2倍ズームで撮影

 

ボケ調査 70cm 7倍ズーム
ケース2 70cmにピントを合わせ7倍ズームで撮影

主題とバックの距離が短いと、バックが鮮明に描写されてしまいます。

きれいな写真は、主題を強調し、背後をボカすことが重要です。

背後ををボカして、被写体を浮き上がるように撮影するためには、ケース1のように、

①なるべく被写体に近づく
②背後の物体はなるべく遠くに配置する
③被写体に近づいた上で、更にズームも併用する

これで主題を強調し、バックをボカスことが出来ます。

でも、やりすぎると、本当にワンポイントしかピントが合わなくなりますので、
かえって悪い写真になってしまうことが有ります。
この、ピントが合う範囲のことを被写界深度と言います。

iPhoneの被写界深度は約1cm

ボケ調査 手前
ケース3

左端より8cmにポストイットを置き、更にその後ろに、同じくポストイットを1cm、2cm、3cm、5cmと離してそれぞれ撮影しました。
左の面の文字のボケ具合をご覧ください。

ボケ調査 1cm
ケース3 手前の面と後ろの面との距離1cm

ボケ調査 2cm
ケース3 手前の面と後ろの面との距離2cm

ボケ調査 3cm
ケース3 手前の面と後ろの面との距離3cm

ボケ調査 5cm
ケース3 手前の面と後ろの面との距離5cm

1cm後ろの文字は読めますが、2cm以降はボケてきます。

 

次に、ポストイットを2段に並べて(5cm後ろ)、手前、奥で撮影してみました。

ボケ調査 手前
ケース3 手前

ボケ調査 奥
ケース4 奥

ボケ調査 手前
ケース3 手前


ケース4 奥  4倍ズーム

奥の場合、どちらも文字がよくわかりますが、手前だと文字が見づらくなります。
つまり、被写界深度が狭くなっているのです。

ボケ調査 手前2倍ズーム
ケース3 手前の撮影で、2倍ズームするともっとボケます。

つまり、近づく、そして、ズームする。
と言うことは、被写界深度を狭くすることを意味します。

被写界深度が狭いと、後ろをボカスことが出来るので、一般的には近づいて撮影します。

しかし、前後する複数の花全てにピントが合うように撮影したい場合は、
少し離れて、ズーム無しで撮影することが良いでしょう。

撮影した写真では花が小さく写りますが、撮影後に写真を拡大すれば花を大きく表示できます。

1/10の部分を切り取り拡大

2Lの写真場合、130万画素*(1.3メガピクセル)あれば十分綺麗な写真になります。

*画素(ピクセル)とは、画面を構成する点の数を言います。画面が大きければ、同じ画素数でも1つの画素が大きくなり、画像は粗くなります。

iPhone7の画素数は1,200万画素(12メガピクセル)あります。

従って、画面の1/10の部分を拡大しても、十分綺麗な画像が得られるのです。

iPhone3Gが200万画素(2メガピクセル)、iPhone5,6は800万画素(8メガピクセル)です。
ちなみに、4Kテレビの画素数は訳830万画素ですので、iPhone5の画像を50インチの大型4Kテレビに映しても、すごく綺麗ですね。

画素数の多いカメラの場合、画面を10倍ぐらい引き伸ばしても十分な画素数が得られるので、
少し広めに撮影して、あとで拡大することも有効ですね。
いらない周辺をカットすることをトリミングと呼びます。

 

AE/AFロックで、ピント/明るさ簡単調整

さて、iPhoneのピントは自動で合うのですが、
花が小さい時や、画面の中央にない時など、後ろの大きな葉の方にピントが合うことが結構あります。

ピンボケ写真

失敗例参考写真

その時は、AE/AFロックを使いましょう。

AEとはAuto Exposierで、露光(露出)のことです。
AFとはAuto Focusで、焦点のことです。

画面に写った被写体を指で押すと、そこにピントを合わせてくれます

押しっぱなしにすると、AE/AFロック と表示されます。

被写体ににピントが合って、そのピント位置が固定されたことを意味します。
従って、カメラが前後に動かない限り、ピントはバッチリです。

これをAF(オートフォーカス)ロックと言います。

さて、それではAEは何をしてくれるのでしょうか?
AEは、花が明る過ぎず暗すぎずの丁度よい光の加減を自動で調整してくれます。

自動で綺麗な明るさになるのですが、たとえば、真っ白な花を白い雲をバックに撮影すると花はグレーになります
暗いところで真っ黒な花を撮影すると花はグレーになります
思い通りの明るさが得られないことが結構あります。

明るさを整えるにはAE(オートエックスポージャー)ロックが有効です。

白い花や黄色い花はかなり明るく。ピンクやオレンジ、水色はちょっと明るく。
紫や黒は暗く調整すると良いでしょう。

これは、色によって光の反射率が異なるために起こる現象です。
光の反射率は黄色が60%、ピンク40%、赤18%なので、
どの色の花を撮影するのかでAEを補正する必要が出てきますね。

昔のカメラでは、経験と勘でカメラマンが補正して、最後に現像して「しまった!」となるわけですが、
iPhoneは補正結果をリアルタイムで見ることが出来ます自分の目で見て「よし!」という明るさで撮影すれば、
絶対にミスはないですね。

是非、AE/AFロックを活用してください。

太陽を背にして撮影しよう

ところで、花に光がきれいに当たるのはどんなときでしょうか?

太陽を背にして撮影すれば、ほとんど良い光加減で撮影できます。
太陽を正面にして撮影すると、花本来の素敵な色合いがうまく出ません。

わざと太陽を正面にして撮影する以外は、常に背中に太陽を意識しましょう

最近はカメラがかなり修正を自動で加えてくれるので、さほど気にならないかもしれませんが、いい色を出すにはやはり太陽を背に撮りましょう。
これも撮影の鉄則です。

是非、光の方向を意識して撮影してください。

(2017.9.19 追記)太陽を背に撮影すると、スマホや自身の影が花にかかります。なので、花に近づいて撮影する場合は、太陽は斜め後ろにせざるを得ませんネ。それから、逆光の場合は、花びらのエッジが輝いたりして、新たな世界を作ることが出来ますが、その際には、花が暗くなりますので、AE補正を使って撮影しましょう。ちょっとテクニックが必要になりますが、新たな撮影技法の一つとしてトライしてみてください。

晴天の昼間がベストな光

光も朝と昼と夕方では随分違います。朝夕は赤みを帯びた光なので、花の色も変わってきます。
本来の花の色を撮影するには、晴天の昼の光が一番です。

色温度とか、色相とか、色かぶり、等など。色は光の当たり方や反射や季節や朝昼夕や晴天曇天等でかなり変わるので、そのあたりも意識すると面白いですね。

それに、太陽の光を浴びることは、ビタミンDが取れるので、健康にもいいですね。(笑い)

暗い時は、3脚&AE/AFロック&タイマー

明るい光だと、シャッター速度は速くなりますので、手ブレの可能性が軽減されます。
しかし、暗い時の撮影では、光を沢山取り込むためにシャッターを開いた状態が長くなり、ブレる可能性が高くなります。
昨今のスマホカメラも優秀ですので、手ぶれ補正機能でだいぶ手ブレを抑えられますが、可能性はなるべく低くしたいですね。

もし、暗いところで撮影するのであれば3脚に固定して、AEを補正して、タイマーを使って撮影しましょう。

撮影時に指が触れないので、スマホが揺れることはありません。

 

追記:フラッシュは使いますか?

フラッシュは強制的な光なので、あまり好ましくないと思います。
プロの撮影を見ると、フラッシュは使うのですが、直接光を当てるようなことはあまりしません。
パラフィン紙を光源にかぶせて、柔らかい光を作り出します。
そして、フラッシュを焚いた時の影を確認していきます。結構大変です。

できるだけ自然光での撮影をおすすめします。

撮影は楽しく!が基本

花の写真家で有名だった秋山庄太郎先生。かつて、秋山庄太郎先生の撮影教室に参加し、
先生とお話をしたことがとても懐かしく思い出されます。

先生の写真館が青山に有りますので、是非生の写真御覧ください。

秋山庄太郎美術館

秋山庄太郎写真芸術館
http://akiyama-shotaro.com/page5.html

先生の写真は、結構フィルターを使いバックを綺麗にぼかして主題を強調しています。
ここまでやるには、iPhoneではちょっと(絶対)無理ですが、頑張ればそれなりに似た感じには出来ると思います。

先生に、「飽きることはないですか?」と伺った時、「楽しくて楽しくて飽きることは全くないですよ」
と本当に楽しそうに、無邪気にお話しくださいました。

 

撮影は楽しくが基本ですね。

構図を意識しよう

構図は、人それぞれの感性ですので、なんとも言えませんが、
一般的には、画面を上下左右に3分割する線を入れて、その交点に主題を置くといい感じになると言われています。

構図 9分割

対角線や、円や、三角形、S字カーブ、Cカーブ、黄金比率なども良く使われます。

構図に関しては多くの書籍が有りますので是非御覧ください。

なお、広めに撮影して、あとで構図を考えてトリミングするのが良い手段かと思います。
プロになると、トリミングなど使わず、最初からベストの1枚を狙うのかと思いますが、
まあ、プロでもないですし、プロがトリミングしてはいけないということもありません(私の認識)ので、
有効な手段は活用しましょう。

それでは、まとめです

1にピント、2に光、3に主題 を意識し、
太陽を背に、手ブレしないようにしっかりと構えて、構図を考えて、
少し広めに撮って、トリミングで仕上げましょう。

これらの知識を踏まえて、しっかり撮ったつもりでも、ピンボケ写真がたまに出ます。
AFロックを掛けたつもりでも、指の位置が悪かったり、ちょっとした拍子に指が画面に触れて、
AFロックが外れていたり、・・・。

なので、撮影したあとの確認は必ずやりましょう
写真を見て、指で拡大して、ピント位置を確認

 

前の記事

モミジアオイ

次の記事

百日草